財務省の逆襲 誰のための消費税増税だったのか/高橋洋一

■こうして誰もかれも消費税増税に突き進んだ

増税では財政再建できない。

「増税こそ財政再建の唯一の方法である」
「何もしなければ10年以内に財政破綻が現実となる」
というのは財務省の役人の常識である。
そして役人たちに洗脳されて、日本の多くの財政関係の学者やマスコミの記者のほとんども同じことを信じ込んだ。

「増税こそ財政再建の唯一の方法である」という思い込みは間違いである。

増税とは単に「税率を上げる」ことでしかない。
税率を上げることによって税収が増えるかどうかは、そのときの経済情勢にかかっている。

消費税増税を行うと、多くの場合、経済活動を委縮させる。
このため、景気感度が高い所得税や法人税の税収は下がる。
それに加え、経済が停滞すると「景気対策のための財政支出」を求める合唱が高まり、財政赤字幅が増税前より大きくなってしまう。
消費税増税を行うと、確実に財政支出が増える。

増税で得た税収は、公共投資による需要創出で、自分の支持者にカネをばらまいて終わり。「消費税増税で得た税収は全額社会保障の充実に使う」というのは嘘

財政再建には名目GDP成長率を上げることが有効
経済成長すれば、無駄使いをしない限り、自然と税収は増え財政再建が可能になる。増税は必要ない。小泉政権下では、劇的なプライマリーバランス収支の改善があった。

金融緩和が名目GDP成長率を引き上げる。

成長のカギは設備投資

■財務省が本当に財政再建するつもりはない。

関心があるのはただ「歳出権拡大」のみ
歳出権こそ財務省の権力の源泉

なぜ財務省は増税にこだわるのか?
それは、自らの権力を強めるためである。
歳出権とは、国会が政府に「この目的のために、いくらくらいのお金を使ってもいい」という権限を与えること。

予算において、「経済成長率は税率にかかわらず一定」という前提をもとに、税収見積もりをする。
したがって、現実の経済が増税でどう変化しようと、予算段階での税収見積もりは、税率を上げた分だけ増加することになる。
するとそれだけ、各省庁や政治家に撒く「エサ」が増え、財務省の裁量権が増す。

増税のために使い捨てにされた政権、民主党
民主主義国では、官僚は選挙によって選ばれた政治家に使えるのが建前である。
しかし実際には、政治家は官僚に使われている。
政権がどうなろうと役人が失業することはないが、政治家は選挙に負ければただの人だ。

■消費増税が経済にもたらす影響

消費増税は確実に経済成長率に悪影響を与える。
「消費増税は成長を阻害しない」と言い張るのは、都合の悪い証拠を隠して自説を強弁しているからである。

2014年度には、日本経済は実質マイナス成長に陥る。

増税すると財政支出が増えるわけ
消費税が増税された場合、それによる景気の悪化は無視して税収見積もりが作られるため、見積もりは実際の税収に比べて過大になりやすい。
拡大された予算にはさまざまな政治家が群がり、各省庁の要求も増え、不要不急の支出が増えることになる。

結果として、財政は増税前よりさらに悪化し、赤字が拡大する。

■減税か財政支出か

増税で経済に悪影響が出た場合、理屈のうえでは元通り減税すればいいことになる。だが財務省は決してそんなことはしない。
歳出増で対策しようとする。つまり、景気対策に新たな予算をつけるわけだ。
それにより予算が拡大すれば、自分たちの歳出権がさらに増すことになる。
各省庁も政治家も、決まっていた事業の予算を減税で削れれてしまうより、歳出拡大で新たな事業を行うほうがはるかにうれしい。

景気対策目的の財政支出が占める割合が、減税に比べて特に高いのが日本である。
それだけ、財政支出に対する政治の要求が強い。

財政支出は景気下支えにはならない。

■「増税翼賛会」はこうして出来上がった。飼いならされた経済学者とマスコミ

「消費税を増税することが財政再建に必須である」という財務省の説明には嘘がある。しかし、学者もマスコミも、誰も財務省に反論しない。
1つは、財界も労働界も、目先の利益で消費税増税を望んでいるということがある。
財務省は財界からも消費税増税の支持を取り付けるために、消費税増税とセットで法人税減税を行うことを示唆されてきた。
財界にとっても、不足している社会保障財源のために社会保険料の引き上げをされるより、消費税増税のほうがましという判断がある。
だから消費税増税に反対していない。

学者が誰も反論しない理由は、財政関係の学者には財務省が、金融関係の学者には日銀が、それぞれ大きな影響を与えているという事情がある。

金融関係の学者には、日銀のシンパ(ある人物や団体の政治的思想に賛同し信奉者となった人)は多い。
日銀の方針に異論を述べていると、情報を教えてもらえず、研究に支障が出る。

財務関係の学者も、財務省関係者は別格扱いである。
学者先生方は「実情はどうなっていますか」と財務省の役人に教えを請うている。
役人たちは、学者先生にデータを与えるだけでなく、財務省の望む方向に誘導している。

多くの財政関係の学者先生は、財務省の意向に従って
「消費税増税は財政再建に役立つ」
「消費税増税したら社会保障は充実する」
と言っているが、どちらも間違いだ。
これまでの消費税増税のパターンを見ても、財政再建や社会保障の充実にはまったくつながっていない。

財務省にとって、財政問題を研究している学者先生を「飼い慣らす」のは簡単なことだ。なぜなら知識がないからだ。反論できるほどの知識を持ち合わせていない。

学者の場合、やはり「研究者として社会に貢献したい」という思いがある。
そのためには公的な仕事にかかわる必要がある。
金融の分野なら、日銀の審議委員や副総裁になることだ。
またそうした地位に就けば、その分野の専門家として最高峰と認められる。
そういう欲があると、日銀には楯突くことはできない。

財務分野も同じで、みんな財政審や税調のメンバーに入りたいと思っている。
だから誰も財務省に嫌われるようなことは言わない。

反財務省学者は抹殺される。



 

■財務省がマスコミ操作に使うアメとムチ

財務省の役人がマスコミを味方にする方法は簡単だ。
マスコミに出向いて、内部資料(マスコミ用)を渡し、連絡先を教える。
記者は、取材相手が自分の会社に来てくれるとそれだけで恐縮する。

記者は、日頃不勉強なうえ、内容が膨大なので、すぐに記事を書くことができない。よって、財務省の資料うあレクチャーをそのまま記事にしてしまう。

その一方で、国税庁を使い、税務調査という名目も恫喝も行っている。

軽減税適用というアメ
消費税増税に批判的なメディアに対して、財務省がチラつかせていたニンジンが、軽減税率の適用だった。

消費税の軽減税率は、租税特別措置と同じで、特定業界への「アメ」として使える。財務省の権力を一段と強める武器なのだ。
だから財務省としては、導入したくてしかたがない。威力は絶大だ。
なにしろ実際に適用される前から、それを使ってメディアうぃコントロールすることができるのである。

「社会保障と税の一体改革」
消費税増税をもくろむ財務省が、増税を実現するために政治家を利用して、消費税に社会保障の衣をかぶせたのである。

消費税は地方税に適している。
財務省は地方分権に反対
財務省は、自分たちの権限が減ってしまう地方への財源移譲には大反対である。
だから消費税にしても「社会保障財源」をアピールすることによって、税率を上げたうえで国税に固定化する意図がある。

■かくも盤石な財務省支配

給付付き税額控除制度の実施に、不可欠なマイナンバー

国税庁を手放したくない財務省
国税庁長官は、財務省出身者の指定席
国税庁は財務省傘下にある。

国税庁はきわめて強い政治的パワーをもっている。
人であれ企業であれ、ターゲットとして選んだ相手に対して、税務調査を行う権限を持っている。
「脱官僚」を掲げた民主党の鳩山由紀夫元首相は、国税庁による圧力で、財務省に弱みを握られて失速した可能性がある。

救われない厚生年金保険料納付者

経済財政諮問会議までもが、財務省支配の道具に。
内閣府の組織である経済財政諮問会議自体が、財務省のコントロール下にある。
内閣府というところは実は、財務省の植民地のような組織なのである。
形式上は内閣府が経済財政諮問会議の事務局を担当していても、実際には財務省出身者や、財務省出身の上司に従う内閣府の職員が、事務局を通じて会議を好きなように動かしている。

■政権も牛耳る強大なパワーだが、小泉政権・第一次安倍政権では影響力が排除された。

消費税増税を決定した、当時の野田佳彦首相と、野党側の代表となった谷垣禎一自民党総裁の増税における連携関係は、最後の最後まで盤石だった。
その裏にいたのが財務省である。野田・谷垣両氏はいわば「増税双生児」で、財務省に思い通りに操られていたのだ。

なぜ民主党はマニフェスト破りしてまで、消費税増税に走ったのか。
鳩山政権→管政権→野田政権と進むにつれ、財務官僚依存が強まり、当初の方針を180度転換して、消費税増税に進んでいった。

管氏、野田氏、谷垣氏は、いずれも総理になる前に、財務相を経験している。
財政は複雑な制度のかたまりだ。政治家は財務官僚の助けなしでは答弁一つままならないのだ。
誰であれ財務省のトップに就いた者は、その瞬間から財務官僚に依存し始める。
財務大臣として毎日、役人から大量のレクチャーとサポートを受け続ける結果、1年もすれば完全に洗脳され、財務官僚依存症になってしまう。

■「我ら富士山」の財務省

財務省は霞が関の最強官庁である。
財務省の権力は、「カネ」と「情報」を握っていることから来ている。
「カネ」とは予算であり、国税庁を支配下に置き、国庫に入ってくる税収を管理。
さらに予算編成権も握っていて、集めたカネをどのように使うかの決定権を持っている。
「情報」は、官邸その他の官庁に張り巡らされた人事権から生まれている。
財務省からは他省庁に多数の出向者が出ており、そこから様々な情報が入ってくる。

財務省支配を跳ね返した小泉政権

官僚に対抗した竹中氏の手腕
予算を作成した後、経済見通しをするのが財務省のパターンだが、
竹中氏は「経済見通しを出さない状態で、予算をつくるのはおかしい」と指摘した。
予算作成の主導権が財務省の手を離れ、官邸に移っていた。

竹中氏が普通の学者と違う点は、自分自身が大蔵省に出向していた経験があり、「どのようにしたら官僚のコントロールを破れるか」を知っていたことだ。
経済財政諮問会議特命室を作り、財務省の息のかかっていない竹中カラーのスタッフだけを集め、竹中大臣みずからが完全にコントロールできる組織にして、事務局を完全に無視して、
議論の叩き台となる草稿をつくっていった。

役人を翻弄した竹中氏
役人たちと闘える希有な人材だった。
彼ほど勉強をした大臣を、私は知らない。
ただ勉強するだけでなく、学んだ知識を頭のなかできれいに整理することができる。
自分立ちより勉強家だから、役人もコントロールできない。

勉強家という点では、大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長も似たところがある。
彼は竹中氏も舌を巻くほどの勉強家だが、ただ記者が相手でも容赦しない。
竹中氏は国会で政策に反対する議員をやっつけることはあっても、記者には優しかった。

役所では民間人は役に立たない。

■日本の財政、本当に危ないの?

日本政府の莫大な金融資産
国内の金融資産は潤沢
かさ上げされている赤字国債発行額

赤字国債急増の原因は歳出の水ぶくれ
財政を家計にたとえてはいけない。

財政再建は「国際社会からの要請」か?
IMFが日本に増税を要求する理由
IMFは財務官僚のたまり場

国で保有する必要のない財産はいくらでもある。
「民でできるものは民で」という原則を貫け

公務員宿舎を手放さない財務省
民間にまかせた方が有効に活用される。
公務員宿舎も財務省の権力の源泉

■財務省支配はまだまだ続くか?

天下りは永遠に不滅
骨抜きにされた公務員制度改革

霞が関のいたるところに植民地
他省庁にも及ぶ財務省支配

各省庁にポストを持つ財務省
公正取引委員会は、国税庁、内閣府と並ぶ財務省の三大植民地の1つだ。

PR:
年間255講座、延べ41万人が受講したお金の学校の定番講座
なかなか聞けないお金のことを短時間で効果的に学べる、入門講座
ファイナンシャルアカデミー「お金の教養講座」
お金のレッスンスタジオ「マネテリ」

現役トレーダーが直接指導する【株式投資スクール マナカブ.com】
参加者の95%が満足!プロが教える無料株式セミナー【株式投資スクール マナカブ.com】

年間1,200名以上が参加する業界最大級の不動産投資セミナー
マンション経営で自分の給料並みの月間収入を実現する仕組みを学ぶ
ベルテックスの不動産投資セミナー

 

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA