なぜ老いるのか、なぜ死ぬのか、進化論でわかる/ジョナサン・シルバータウン

なぜ私たちは老いて死ぬのか

多細胞のメリット、デメリット
一細胞生物には修復設備や細胞の自衛隊や医療団がそりっており、それらはすべて生物の命を延ばすことに役立つ。
一方、多細胞にはデメリットもありうる。それは、一部の細胞が、成長や修復のために本来の分裂能力を保たなくてほならないが、これらのいわゆる幹細胞が野放図に増殖するとガンが発生することだ。
細胞分裂に抑制がきかなくなると、命を縮める恐れがある。

ガンの危険性は、寿命が長いほど細胞分裂による細胞の入れ替えが必要なので高くなるし、体が大きな動物ほど小さな動物よりも細胞が多いので高くなる。

体が大きい動物ほど長寿になる?

超高齢になると老化が止まる
老化による体調不良や病気は個々の人に起こる生物学的な現象だが、それらの死亡率に対する影響を集計すると、老化は統計的な現象にもなる。

ゴンぺルツの法則 老化の速度(死亡率倍加時間)

ゴンぺルツは、それぞれの年齢で死亡する人の数を示した生命表を調べ、二〇歳以降では年齢」ともに死亡率が指数関数的に上昇することに気づいた。

人間の寿命の伸びは老化の減少によるものではない。

要するに、寿命が延びているのは、老化が減少しているからではなく、老化の始まりが遅くなっているからだ。

超高齢では死亡率の上昇が止まる
寿命を操作する遺伝子スイッチ
長寿遺伝子の研究
初めての長寿遺伝子は、極微の生物で発見された。それは「カエノラブディディス・エレガンス(C・エレガンス)」という線虫だ。

遺伝子は、単独ではなく複数で協調して働く。たとえば、部屋の隅にある電気のスイッチは回路の一部をなしており、電源と電球がつながったときにのみ機能する。てれと同様に、寿命を普通から普通の二倍の長さに切り替える遺伝子は、そうした変化を司るメカニズムに結びつかなくーはならない。

長生きの鍵を探る

無限成長

ゆっくりした成長と長寿には、確かにおおまかな関連がありそうだ。無限成長は動物では珍しく、特定の魚やロブスター、サンゴ、軟体動物などの海洋生物でしか見られないが、植物ではほとんどすべての種が無限に成長する。植物やサンゴがいつまでも成長を続けるのは、それらが特別な方法で作り上げられるからだ。つまり、どれも連続したモジュールからできている。
各モジュールからさらなるモジユールが成長するので、植物やサンゴのサイズが大きくなったり、死んだモジユールが置き換えられたりする。このような仕組みによって、深海に生息する最長老のサンゴは何千年も生きているのだ。

アリストテレスは、植物が長寿なのは、みずからを蘇らせることができるからだと述べた。そのときに、彼が無限成長の重要性を理解していたのは明らかだ。

植物ではガンは転移しない

植物が致命的なガンから守られている理由の一つ第は、細胞が箱のような細胞壁によって固定されており、動物の体とは違って、ガンが植物体に広がらないからに違いない。人間では、転移という現象によって大勢のガン患者の命が奪われるが、植物では転移は起こりえない。また、植物の細胞分裂が、周囲の細胞の影響によって動物より厳しく制御されていることも示唆されている。そのため植物では、突然変異した一つの細胞が増殖して制御できなくなる事態は、ずっと起こりにくい。

成長が遅いほうが長生きできる

進化にとって老いと死とは何か
不死が実現しないわけ

一九世紀に活躍したドイツの生物学者アウグスト・ヴァイスマン
彼は、老化や死が進化によって好まれるのは、消耗した個体を排除して活力のある若い個体に道を譲るという利点があるからだと提唱した。

年を取ると自然選択は引退する

 

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